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橋本遥 (農学研究科 応用生命科学専攻 修士2年)

皆さんは普段とは違う異種の環境にいることが好きでしょうか?

オックスフォード大学に来てはや2週間。悠久の歴史をたたえる街はレンガ造りの建築と愛らしい花に彩られ、住民の生活もこの街によく調和しているようです。 こちらは秋も半ばのような気候で初めのうちは京都の猛暑を名残惜しくも感じていましたが、今はすっかりこの街とこの大学を気に入ってしまいました。

オックスフォード大学はカレッジ制。私たちが学んでいるのはWorcester Collegeです。講義は英語と学術科目をそれぞれ午前と午後に受講し、私はEnvironmental Challenges of the 21st Centuryの科目を受講しています。この文章では2つの講義の様子を私の気付きと共にご紹介したいと思います。

私は大学院で希少金属の生化学的回収技術開発の研究をしています。研究室では他にもバイオエネルギーに関する研究もあり、地球が直面する環境問題解決は技術開発という観点から馴染みの深い問題です。午後の学術科目では法学・経済学・工学・医学・農学など多様な学術的背景を持った学部生から院生まで12人が共に21世紀の世界が直面している環境課題について学んでいます。
ではこのような学生と共に学ぶことの意義は何なのでしょうか。
答はありふれているかも知れませんが私は今それを実際に体験しています。大学院での研究は特定分野を深く極めることには適していますが、ともすると視野を狭めてしまうものです。しかし自分とは違う角度から物事を見ることが習慣化している学生と共に学び議論すると、先入観を取り払え、普段は得られもしない批判をもらえます。そして大抵の場合ある分野について最も知識があるのは自分だけという環境に置かされます。ここで自分の専門知識の理解度とその深度が試されるのです。例えば代替エネルギー。各代替エネルギー技術の日本での発電量内訳の構成や技術的課題、それに対してどんな技術革新が進行中か。それを例示・説明できるのは先生を含めても自分だけという状況は起こります。そのためには深くて最新の知識と正確な理解が必要とされます。これはプレッシャーではありますが成長の機会でもあります。講義で他者の学びに貢献することで自分の専門知識に自信を持つことも出来るし自らの未熟や改善点を見つけ出すことも出来るのです。
何かの専門家であるほど、自分の専門を飛び出しheterogeneousな環境に定期的に身を置くことの意義は計り知れないのではないでしょうか。

言語習得に最適の方法は何でしょうか。あるとするならばそれはモノマネの達人になることだと思います。
日本の英語教育を受けて育った私は恐らく一般と同様にアメリカ英語に馴染んでいます。今私は日々イギリス英語に触れ単語や言葉の言い回しなどに特徴的な違いを発見し続けていますが、やはり面白いのは発音の違いです。中学一年生の時イギリス出身の英語の先生に習い、次年度のカナダ出身の英語の先生は私の英語発音はイギリス英語だと評されました。大学学部時代に日米学生会議に参加してからはアメリカ在住の友人の影響もあり私はアメリカ英語の語彙と発音を使っていたそうです。そしてイギリスに来て2週間が経ち、オックスフォードの先生によると現在の私はイギリス英語を使うが偶にアメリカ英語の発音をするそうです。外国語としての英語話者として、私はどの英語を話そうという気持ちはありません。世界には多種多様な英語がありますから、郷に入りては郷に従い、モノマネの達人になって柔軟に夫々の言語習慣を受け入れ使い分けたいものです。

学問であれ言語であれ、自らを異種の環境に晒し真っ白になってからそこにどっぷりと浸る経験は若いうちはもちろん今後経験や知識を重ねていくほどに積極的に取り入れていきたい習慣だと実感しています。

この場をお借りして、このような機会を与えてくださった大学及び関係者の皆様に御礼申し上げます。

(※この報告はプログラム実施期間中に中間報告として作成されたものです。)

橋本遥 (農学研究科 応用生命科学専攻 修士2年)

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